エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続きの続きの続きの続きの続き





かえるでんぐり でんでんでんでん
たった一つのお願いを

誰が叶えてくれましょか
誰が叶えてくれましょか


15の幸せ見ぬ日には
私しゃ どこにも行けやせぬ


かえるでんぐり でんでんでんでん
たった一つのお願いを


誰が叶えてくれましょか
誰が叶えてくれましょか


たんとお供えくれなけりゃ
元には戻れぬ闇のまま


かえるでんぐり でんでんでんでん
たった一つのお願いを

もしも 叶えぬお人には

何をお返しいたしましょう
何をお返しいたしましょう
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by komaoyo | 2015-05-29 10:12 | 読み物 | Comments(0)

※ 音楽と共にお読みいただくと、一層臨場感が増します。なお、より恐怖感を味わいたい方は、カウント8:15に合わせて8:46になるまで画像をご覧ください、その後、音をお聞きになりながら下にお進み下さい。ご覧になる時間は丑三つ時がよろしい・・・・・・かと













次回予告













怪しく響く手毬歌の謎









棋士江川 要伍の叫びとは・・・。


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香見宇 里子の驚きとは・・・。



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志穂美 ロミの恐怖とは・・・。



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そして、














消えてしまった、戸志川 有起哉は・・・


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琉津田 さほりの行方やいかに・・・。



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これから始まる 本当の恐怖







あなたは

















まだ知らない













ぎゃあああああああああぁああああああああぁああぁああぁああああああああああああぁあああああぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああっっつつ

















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恐怖の連鎖は止まらない



















乞うご期待

















illustration Ikuko


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by komaoyo | 2015-05-21 21:21 | 読み物 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続きの続きの続きの続き







だんだん だんだん だんだんざかの

さかのとちゅうで きこえるは
おまえをよぶこえ しったこえ

もりにはいると さあたいへん

でんでん でんでん でんぐりがえり
でんでん でんでん でんぐりがえる



だんだん だんだん だんだんざかの

さかのとちゅうの もりのなか
このよのくちと あのよのくちに

あのこをみたら さあたいへん

でんでん でんでん でんぐりがえり
でんでん でんでん でんぐりがえる



突然 棋士江川要伍が、おかしな歌を歌いだした。



「どっ どっ どうしちゃったんですか?急に歌いだしちゃって」かなり引いた目をして里子は言った。

ロサクワ・ズシーカと志穂美ロミも、顔を見合わせて不思議そうな顔をした。



「いやぁ~すみません。突然歌いだしたりして」頭を掻きながら恥ずかしそうにうつむいた。

「実はこの歌、僕が小さい頃ひい爺さんに教わった歌なんです。子供ながらになんだか気味が悪くて、好きな歌じゃなかったんですけれどね。三つ子の魂なんとやらで、ずーと忘れていたのにスラスラ出てきちゃって・・・・自分でも驚いているんですけどね・・・今 ロミさんのお話を聞いて思い出したんですよ」

「 本当なんか気味悪い歌だわ。{このよのくちと あのよのくちに}なんて・・・あまり子供向けじゃないわよね」里子は、怖さが増したのか、ロサクワ・ズシーカの隣に自分が座っていた椅子をぴったり移動させながら言った。

「棋士江川さん もう一度歌ってくださらない?急に歌われたから、戸惑いの方が先に来てしまい、よく歌詞をきいていなかったの。ごめんなさいね」ロサクワ・ズシーカは里子の手の上に自分の手を乗せながらそう言った。


「いやぁ 歌が得意じゃないので 恥ずかしいんですが。そうだ!!」そう言って立ち上がり、やたら大きいかばんの側面のポケットから、大学ノートを取り出した。


「今歌った歌詞を書いてみますね。」そう言って、先ほどポケットに仕舞った渋く光るパーカーのペンを取り出して歌詞を書き始めた。


「最初は、段々 段々 段々坂の 坂の途中で聞こえるは お前を呼ぶ声 知った声」ここまで歌いながら書くと、棋士江川要伍は志穂美ロミの方を向いて

「ねっロミさん、坂を歩いている時おばあさまの声が聞こえたんですよね」

「はっはい 確かにおばあちゃんの声でした。最初は空耳かと思ったんですけれど、最後にはハッキリ私の名前を呼びました」そう言って また少し涙ぐんだ。


ロサクワ・ズシーカは「大丈夫よ」と言うように、志穂美ロミの手の上にも自分の左手を置いた。

「続き歌いますよ 。 森に入ると さあ 大変 でんでん でんでん でんぐりがえり でんでん でんでん でんぐりがえる 」


「本当だ。ロミさん 確かさっき雑木林に入って行ったって言ってたわよね。」里子は今度はロサクワ・ズシーカの右腕をガシッと掴んだ。

「続けますよ」 怖がり屋の里子が益々怖がってロサクワ・ズシーカにしがみ付いている姿を見て棋士江川は、クスッと笑った。


「段々 段々 段々坂の 坂の途中の 森の中 この世の口とあの世の口に あの子を見たら さあ大変 でんでん でんでん でんぐりがえり でんでん でんでん でんぐりがえる」こう歌いながら書いて顔を上げた。


「雑木林の確か切り株あたりではっきり声がしたんですよね。 そして何かに押されて気が付くとこのエリスマン邸の前にいた。 そうですよね」渋く光るペンを、志穂美ロミの目の前に差し向けながら言った。

こくりと志穂美ロミはうなずいた。



「森の中でこの世の口とあの世の口が開いて移動する。」こう言って 、今自分の書いた歌詞を皆に見えるように持ち上げた。


「こんな事、現実で起こるわけがないと思いたいですが、実際にロミさんが今体験したことは、紛れもない事実みたいです。そしてこの歌とも合っている」

「でんぐりかえって あの世とこの世を行ったり来たりするなんて、あはははっ<おむすびころりん>じゃあるまいし 笑っちゃうわ」そう言いながらも里子は、ロサクワ・ズシーカの腕をガシッと掴んだまま離さない。


「あっおむすびころりんは、あの世とこの世を行ったり来たりなんてしなかった。あはははっ嫌だ私ったら」そう言って、前に座っている棋士江川要伍の足を右足で蹴った。


「さっさっ里子さん 怪力なんだからやめてくださいよ。」

「あらら つい足が。でも蹴っていませんよ。当たっていなかったし。ちょっと足が前に動いただけですって」



「里子さん 棋士江川さんの奥様にしかられちゃうわよ。まだ新婚さんでしたわよね。ね、棋士江川さん。いくつ離れていらっしゃるんでしたっけ、確か25でしたかしら?」

「よしてくださいよ。25は離れていませんよ。」少し顔を赤らめて答えた。


「いやいや決していじめてるわけではないですよ。ついどういうわけか・・・叩きやすいと言うのか、蹴りやすいと言うのか・・・。あっなんか 自宅にあるサンドバックに似ているからかなぁ?」と言って里子はゲラゲラ笑った。



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「あら いやだ里子さんサンドバックなんて」そう言って、サンドバックになった棋士江川を想像してロサクワ・ズシーカも笑ってしまった。



3人のやりとりを見て、志穂美ロミも笑った。




「皆さん想像していませんか?私がサンドバックになっている所。止めてくださいよ、本当に・・・まさかサンドバックに似ているなんて ひどいなぁ 里子さんたら・・・。しまいにはボールに似ているから蹴りやすとか言いかねないなぁ ・・・」


あっ


そう言いながら、何かを思い出したように渋く光るパーカーのペンを自分の目の前に上げた。



「ボールで思い出しました。これは手毬歌だったんです。まりをつきながら歌う歌。ひい爺さんは歌だけで、実際にまりつきを教えてくれたわけではないんですが。この歌、手毬歌なんですよ」


「悪魔の手毬歌なんて言うんじゃないんでしょうね。」そう言って里子はまたまたロサクワ・ズシーカにぴったりとくっついた。

「悪魔の手毬歌?それはなんですの?」ロサクワ・ズシーカは日本に長く住んでいるが、日本の昔からの遊びなどはよく知らなかった。


「悪魔の手毬歌って言うのは、小説の題名なんです。横溝正史っていう作家が書いたお話でね。映画にもなったんですよ。」

「ええ そうなの。毬をつく時に歌う歌ではないのね。どんなお話ですの?」

「毬をつく時の歌がついた題名なんです。ざっと説明しましょう」そう言って棋士江川要伍が立ち上がった。



「連続殺人事件が、村に伝承の手毬唄になぞらえて行われるというお話でしてね。残忍な事件が次々起こるんです。滝つぼの中の絞殺死体。遺体の口には、なぜか漏斗が差し込まれていたり。葡萄酒工場の中の絞殺死体っていうのもあったなぁ」



「まぁそんな怖いお話なんですね」ロサクワ・ズシーカは眉間にしわを寄せた。
「そう言えば、私の生まれたウクライナでも、手毬歌ではないのですが、昔から伝わる童謡がありますわ」












「森の中で落とし物の手袋をいろいろな動物が住み家にするお話なの」


「その童謡は怖いお話なんですか?」ロミが聞いた。


「表向きは怖くはないのだけど 、実は落とされた手袋は人間の子供っていう・・・」




ひゃぁー嫌だーっ ロサクワさんまで止めてくださいよ。 うわうわっ 鳥肌立っちゃう」ロサクワ・ズシーカの傍から椅子ごと離れた里子。


「ごめんなさい怖がらせてしまって。でもね、これって小さい子供たちに森に一人で行かないようにとか、お父さんお母さんの言うことをよく聞かないと森に捨てられちゃいますよって言う、いわゆる道徳の要素が入ったお話だと思うのよ」


「グリム童話とかも民衆から話を聞き取った話を集めたとか・・・初期のものは、残忍なお話も多く入っていたとかいいますね」ロミはすっかり落ち着きを戻して言った。



「もしかして 棋士江川さん、ひいお爺さまから教えていただいた手毬歌 、森に一人で入らないようにって注意の為の歌かもしれなくてよ。」

「そうですね。そうかもしれません。でも・・・でもですね。この歌続きがあるんですよ。」そう言って棋士江川は、窓のほうに歩いて行って振り返った。


















続く
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by komaoyo | 2015-05-20 09:26 | 読み物 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続きの続きの続き







何かにドンと押され切り株の穴に吸い込まれてしまった、志穂美ロミ。



気が付いた時はここにいた。







エリスマン邸の前。
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二胡を背負って、片手に重いバック、片手にイギリスパン2斤とシナモンレーズンパンと他のパンも沢山入ったウチキパンの袋を持って。







「案外早く着いた・・・」





「いやいやそうじゃなくて」




「私、今とんでもない事に遭遇した・・のだろうか?」
足がすくんだままエリスマン邸の前で立ち尽くした。





周りを見回した。気のせいか、景色が止まっているように感じた。先ほどまで吹いていた風がどうやら止んだようだ。








「会場に行かなくちゃ」自分に言い聞かせるように一言つぶやいて、エリスマン邸に入って行った。






会場に続く階段を下り切った時、携帯電話がブルルルゥブルルルゥと振動した。


「誰かしら?」志穂美ロミはポケットから携帯を取り出し耳に当てた。





「はい」少しぼーとしながら携帯に出た。




「ロミさ~ん ♪ 里子です。今どちらにいます?」



「ここです」

会場の入口ドアの前で志穂美ロミは答えた。



「えっ?どこです?ここって?」里子は首を傾げ、ロサクワ・ズシーカと棋士江川 要伍の方を見た。


ロサクワ・ズシーカと棋士江川 要伍は、里子の後ろを同時に指さした。


「えっ」里子は携帯を耳に当てたまま振り返った。




「あっ なんだ ロミさん いたんですね。良かった!!」里子はすくっと立ち上がってロミに駆け寄った。

「良かったわぁ」
「いたんだ。良かった良かった」

そう言ってロサクワ・ズシーカと棋士江川 要伍も立ち上がり志穂美ロミの方に行った。


「え?ええ こんにちは」力のない声で志穂美ロミは答えた。



「こんにちは ロミさん お一人ですか?」
「他の方にまだお会いになっていません?」
「皆さんと何処かに隠れていたってことないですよね」矢継ぎ早に里子は聞いた。


「はい?」里子をぼんやり見ながら志穂美ロミは答えた。


「とりあえず ロミさん こちらにお座りになってお話はそれから。ねっ里子さん 」ロサクワ・ズシーカは、いつもの志穂美ロミと違う事を察して、重たそうな荷物と持ち手がねじれて手に食い込んでいるウチキパンの袋を持ってあげながら里子に目くばせした。


「ロミさん こちらに来る時ウチキパンに寄ってらしたのね」ロサクワ・ズシーカは沢山のパンが入ったウチキパンの袋と重たいバックを空いてる席に置きながら言った。


「え?え ええ・・」うつむきながら志穂美ロミは答えた。


棋士江川要伍も何かいつもの様子と違う志穂美ロミを見て、 おかしいと気付いた様だ。

「ロミさん ロミさん 大丈夫ですか?」



顔を上げた途端 椅子に崩れるようにへなへなと座った。



「私 私 変なんです。」


「おばあちゃんの声がして ・・・最初空耳だと思ったけれど・・・また おばあちゃんの声がして ・・・それで 声がしたほうに行って・・・でも 聞き間違えだと思って引き返そうとしたら ロミってはっきり私を呼ぶ声が聞こえて・・・・振り向いたら そこに」と一気に言った途端、顔を両手で押さえて泣き出した。



「ロミさん」

「ロミさん大丈夫?」

「何を言っているの?ロミさん?」


泣き出した志穂美ロミに3人は酷く戸惑った。




「そしてそして 何かが私を ・・・ 私を押して 私、切り株の穴に吸い込まれて・・・ それでそれで・・・」







訳の分からないことを言い出した志穂美ロミに戸惑いながらも、棋士江川要伍は冷静にこう聞いた。



「ロミさん おばあさんの声を聞いたのは何処でしたか?」

「もしかして 外人墓地の坂を登っている時ではないですか?」



「は はい 外人墓地の坂です」涙をぬぐいながら答えた。


「切り株は、外人墓地の・・・・反対側。そこから声がしたんでしょう」


「ええええそうです」棋士江川を見上げながら 、志穂美ロミはどうしてわかったのかと言う目をして答えた。



「やはりそうか」


「何か知っているんですか? 棋士江川さん」里子は棋士江川の方をググッと見た。



里子の目力に戸惑いながら「 知っているというのか・・・、はっきりした事ではないのですが」と前置きしながら話し始めた。









続く
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by komaoyo | 2015-05-14 18:37 | 読み物 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人」続きの続きの続きの続き




ただ ただ ないなったらいかんけん、 ウチキパンのイギリスパンが買いたかっただけなじゃけんど 。


志穂美ロミは、ベルギー生まれの今治育ち。オランダ語(フラマン語)とフランス語・ドイツ語を起用に操り、そしてバリバリの今治弁も話す マルチリンガルOLだ。


二胡を弾く事と同じくらい、おいしいものを食べることが大好き。

今回の横浜エリスマン邸での演奏会は、演奏をすることも楽しみだったが、元町のウチキパンでイギリスパンを買うことや中華街で小籠包を食べることも楽しみにしていた。

エリスマン邸の近くでランチを食べた後、会場に向かった。

会場には、おなじみの二胡仲間が集まっていた。中には見慣れない楽器を演奏している新しい仲間もいた。

何人かと挨拶した後席に着き、二胡と荷物を降ろそうとした時、後ろに座っていた山咲美結(やまざき みゆ)から肩を叩かれた。

「ロミさん、 坂の下のパン屋さん。 ウチキパンって言いましたっけ、あそこのイギリスパン買ってきました?」と二胡練習の手を止めて言った。

「いえ 帰りに買おうと思って買わなかったの。やっぱり帰る頃には売り切れてしまうかしら?」

「たぶんね、大人気ですもの。それに今日は土曜日だから観光客も多いし・・・14時頃に売り切れてしまうかもしれないわ。」

「そうよね。まだ演奏会までには少し時間があるし・・・ちょっと行って来るわ」

会場ドア横のピアノの所にいた、今回一緒に演奏するベワナータに向かって「ごめんなさい。私ちょっとパン屋さんに行って来るわ」 と鼻息荒く言った。

「ミロさん 今ランチしたばかりじゃないですか?もうお腹空いちゃったんですか?」ベワナータはちょっと呆れた顔をしながら言った。

「いえいえそうじゃないの。人気のパンが ないなったらいかんけん・・あっつい愛媛弁が出ちゃった。フフフッ ないなったらじゃなくて無くなったらいけないから、買いに行って来るわ!」

「あら、そんなに人気なら私も一緒に行って買おうかしら」

「いいえ 一人で大丈夫。あなたの分も買ってきてあげるわよ」

「ロミさん方向音痴だから心配だわ」ベワナータは本当に心配そうに言った。

「大丈夫!大丈夫!」そう言ってサーと速足で会場を出て行ってしまった。


「ああロミさん 慌てて出て行っちゃって・・・。二胡は置いて行けばいいのに。」べワナータはそう言って、やれやれと言う顔をして近くの椅子に座った。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「どうしてこうなの 私って」

志穂美ロミは、片手に重いバック、片手にイギリスパン2斤とシナモンレーズンパンと他のパンも沢山入ったウチキパンの袋、そして背中に二胡を背負って 外人墓地の坂道を登っていた。


猪突猛進型が時として仇になる場合がある。


「思い立ったが吉日」は好きな言葉だ。

「重いカバンは置いて来るべきだった・・・。あっ二胡だって置いて来るべきものだったわ~」
「お財布ひとつ持って出れば、こんなしんどい思いをしなくて済むのに。あー重い」


「後悔先に立たず」は、納得の言葉。
「ヤラズニ後悔」は最も嫌いな言葉。


「少し急がなくては・・・、演奏の前に調弦したり(一緒に演奏する)ベワナータさんとも打ち合わせしなけりゃ」坂道を重たい荷物を持ち全速力で駆け始めた。

と、そこに

「あんまり無理しよったら、やりつけるぞな(あんまり無理してたら、疲れきってしまうよ)」
なつかしい祖母の声がした。



「・・・・?」




「今のは何?」

驚いて立ち止まり、あたりを見回した。


左は外人墓地。右は雑木林。


急に風が吹いて来たのか、ざわざわ木々が揺れ始めた。



「気のせい? 木のせい?」
「なんてくだらない冗談を言っている場合じゃないわ 急がないと・・・でも 、確かに聞こえたわ、おばあちゃんの声 いやいや 聞き間違いに違いないわ でも・・・」



と、雑木林の方を見た途端 また



「へっちょ見よらんと、前向いとらないかんぞな(あさっての方を見るんじゃなくて、前を向いてなきゃだめだよ」


確かに声がした。
しかも雑木林の奥の方




「誰?」






声がしたあたりからは、木のざわめく音以外何も聞こえない。人のいる気配もしない。

「もう」と言って坂を登らず、右の雑木林の中に入っていった。
元来の好奇心がムクムクと首を擡げたのだ。

「ここから聞こえたんだわ」


声が聞こえた場所には、大きい切り株があった。


「切り株から声がする訳ないじゃないの、 私どうかしてる」そう言って、元の道に戻ろうとした途端








「ロミ」







「ヽ(゚∀。)ノ ウェ 確かに聞こえた 」
しっかり背負った二胡の後ろから。





怖いもの見たさに後ろを振り返った。









ぎゃあああぁあああああ






















おばあちゃんじゃない・・・。








驚いて口をあんぐり開けたと同時に、ドンと何かに押され大きな切り株に突然空いた穴に吸い込まれてしまった。







※ 画像と本文は、はっきり言って関係はありませんが最後までご覧ください。あくまでもイメージです。




一体 志穂美ロミさんは、何を見たのでしょう。そして 今どこに・・・。



全ての事柄が解き明かされる時はいつ



まったく気を持たせる この終わり方 ・・・他に手法を知らんのかぁ とお怒りのあなた

ついつい この手法に走っちゃう
安易な私を許してぇ FuraFura
 

 (´・ω・`) ))
 ⊂)  ⊂(
  ハハハハハハ
  ∪ ∪
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪♪




続く
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by komaoyo | 2015-05-12 23:31 | 読み物 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続き





3人は会場に並べてある椅子に座った。

ロサクワ・ズシーカは、自分がエリスマン邸に着いた時から今までの事を棋士江川に話した。

「ロサクワさんが、地下の階段で会場に向かう時に聴こえていた楽器の音は、小さい黒いものがものすごい速さで音も無く横を通った時、聴こえていなかったんですよね。そして、得体の知れないものの存在を知らせようと思って受付に行ったが、そこには えーと」

「ガヲーナさん、ガヲーナ・ ヤボックァさんですわ」

「そう、そのガヲーナさんはいなかった」

「ええ 2階かしらと思いお呼びしましたけれど、お返事はありませんでした」

「そこに・・・」棋士江川は、いつの間にか何処からか取り出した、渋く光る※パーカーのペンを右手に持ち、ロサクワ・ズシーカと里子の方に交互にペンを向けた。


ロサクワ・ズシーカと里子は目を合わせて

「私がそこに来たんですよね」
「里子さんがいらしゃいました」

同時に二人は言った。

「そして・・・」渋く光るパーカーのペンをロサクワ・ズシーカに向け

「2人で会場に続く階段を下りて 行ったら・・どなたもいらっし・・・」

「いなかった」
ロサクワ・ズシーカの声を遮るように、棋士江川は低い声で言った。



「きゃっ 棋士江川さん刑事みたい!!」と里子は言って、棋士江川の膝を叩いた。

「痛!あのね 里子さん 私は警察の人間です。み・た・い、じゃないんですよ。本物です」そう言って渋く光るパーカーのペンを振った。

「あはっそうでしたよね。確か(署長さんに見えない署長さん)でした。」ウフフフッ」里子は首をすくめながら、小さい声で言った。

「ゴホン」咳払いをしてから棋士江川は、「で、いたはずの皆は何処に行かれたと思います?」眼光鋭いまなざしで2人に聞いた。

「あはははっ 分かんないから困っちゃってるんじゃないですか」里子は棋士江川のやたら大きいカバンをつま先で押しながら言った。

「これ 何が入っているんです?随分大きいですけれど」里子は今度は手でかばんを撫でた。
「あっなんかぐにゅぐにゅしてる。」

「何でもないですよ。後のお楽しみだから。あっ里子さん カバン開けないで下さいってば」

里子は、やたら大きいカバンのチャックを開けるふりをして。棋士江川をからかった。

「里子さんたら フフフッおよしなさいよ。棋士江川さん困ってらっしゃるわよ」

「開けませんよ。アハハハッ」と言ってカバンのチャックから手を離した。

棋士江川は、里子の横に置いたやたら大きなカバンを、会場入って左側の窓側に「よっこらしょ」と言いながら移動させた。

「怪力の里子さんから引き離しておかないと」そう呟きながら、窓の外をフッと見た。

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気のせいか、外の景色が止まっているように感じた。先ほどまで吹いていた風はどうやら止んだようだ。



「この建物の中や外周りは、見てみましたか?」棋士江川は椅子に戻って質問を続けた。

「1階2階には、いらしゃいませんわ」ロサクワ・ズシーカが答えた。

「そうですよね。お二人がいらしたのは、1階受付け前。そこを通らなければ地下から1階にも2階にも行く事は出来ない」

「外はまだ見てないけれど、たぶんいないと思うわ。ほんの数分で楽器ごと荷物ごと複数の人間があの会場から外に出るなんて・・・ねぇロサクワさん おかしいですよね。」里子はロサクワズシーカの膝に手を乗せて言った。

「そうよね。もし可能だとしても、皆で一斉に楽器を持って、ケースを持って、バックを持って、狭い地下のドアから外に出て隠れるなんて、どう考えてもおかしいですわ」ロサクワ・ズシーカも怪訝な顔で言った。

「でも私が入って来た地下の入り口から外に出て、建物を半周回れば1階入り口ですよ。そこから入り2階に隠れている場合だってありますよね」棋士江川は渋く光るパーカーのペンを回した。


「いいえ それもないわ 。だって2階に上がる階段は、1階の私とロサクワさんがいた受付横の階段を通らないと上がれないもの」きっぱりと里子は言った。

「はい そうですね。では 携帯はどうです?どなたかに連絡しましたか?」棋士江川は渋く光るパーカーのペンを左手に持ち替え、今度は左ポケットに入っている携帯を取り出した。

ロサクワ・ズシーカと里子は首を横に振った。

「私たちも、今来たばかりなので連絡は誰にもしていないわ」里子は、窓の横に置かれたやたら大きなカバンを見つめながら言った。

「そうだ、Facebookに琉津田さほりさんが[ちょっと迷いましたが無事到着!一番のりっ]ってアップしてた。琉津田さんは、確実に来ているわ」里子はカバンから目を離し、棋士江川とロサクワ・ズシーカを交互に見ながら言った。

「じゃあ琉津田さんに連絡してみましょう」そう言って棋士江川は、渋く光るパーカーのペンを左胸ポケットに仕舞い、携帯で電話しようとした。


「あっ私 琉津田さんの携帯番号知りませんでした。ロサクワさん 里子さんご存知ですか?」

「はいはい私がかけますよ」と言って、スワロフスキーでキラキラ輝くスマホをバックから取り出した。

「ピッポッ パ ピッ パ ピッ パッ ?? 」里子は口で、わけのわからない言葉を発して琉津田さほりの携帯にかけた。


おかけになった電話は電波の届かない場所におられるか、電源が入って いないため、 かかりません


「あらっ?つながらない」

もう一度琉津田さほりにかけたが、結果は同じだった。

「お出になりません?」ロサクワ・ズシーカは心配そうに言った。

「ええ」里子も心配そうに答えた。

「他の人にもかけてみましょう」棋士江川は言った。

「里子さんは山咲美結(やまざき みゆ)さんと嶌 李弥子(おおしま りやこ)さんに連絡を、ロサクワさんは古代家 志乃(こだいけ しの)さんにお願いします」

「了解!」
「はい分かりました」

「私は、呂田陀 亮(ろただ りょう)君と四万騎・・・ は、 まだ署にいるからいいとしてNatsumu 寶 (なつむ かたら )君に連絡してみます」


3人は、携帯に向かい其々連絡を取った。




おかけになった電話は電波の届かない場所におられるか、電源が入って いないため、 かかりません









何度も何度もかけてみたが誰一人つながることは無かった。





「あと12時前までに来ていそうな人は・・・あっロミさん」そう言って志穂見 ロミへ電話をかけた。




「トゥルルルル~トゥルルルル??」  







「はい」







里子は大きな目を一層大きくして、耳にあてた携帯を右人さし指でつついた。

「出ました出ました。あ~良かった」ほっとしながら言った。


ロサクワ・ズシーカも棋士江川も安堵の表情を浮かべた。







「ロミさ~ん ♪ 里子です。今どちらにいます?」








「ここです」












続く
















※PARKER =棋士江川 要伍 愛用のペン の会社名
http://www.parkerpen.com/ja-JP/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%83%B3
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by komaoyo | 2015-05-10 08:39 | 読み物 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続き




「あのね里子さん 昔、そう私がここ横浜に初めてウクライナから来た年・・・27年前になるかしら」そう言ってロサクワ・ズシーカは廊下から会場内に入って行った。

「ちょっとちょっと 置いて行かないで下さいよ」廊下から慌ててロサクワ・ズシーカを追う里子。

日頃から屈強な男たちと対等にスタントの仕事をしていて、周りからは「アイアン( iron)里子」とまで呼ばれているのに、里子は幽霊・お化けの類にはからきし弱いのだ。

「ロサクワさん 1人にしないで下さい」前のめりになりながら里子は、ロサクワ・ズシーカを追った。


「ロサクワさん 音が一斉に消えても人まで一斉に消えるわけないし、でも人が消えたから音が一斉に消えた。いえいえ・・・音が一斉に消えたのは、人が一斉に消えたからじゃないでしょう。・・・あははははっ まさか あはははっ・・・・・・・っ」早口で言いながら里子は笑ってロサクワ・ズシーカの腕を両手で掴んだ。

「単純に考えてみましょうよ。きっと何処かに行っているんですよ。」そう言って、ロサクワ・ズシーカの腕を揺さぶった。

「あっわかった??棋士江川さんだ?? 棋士江川さんの考えそうな事だわ!」と、クスリと笑った。
「ロサクワさん 、棋士江川さんが私たちを驚かす為に、きっと皆さんに指示して何処かに隠れたんですって そうに違いないですよ。」自信満々に里子は言った。



※棋士江川 要伍(きしえかわ ようご)は山手警察署 の所長で、生粋の浜っ子。高祖父・曾祖父・祖父・父と5代に渡って警察所長と言う要職についている。(もっとも高祖父の時代は警察署長ではなく、奉行だが。)ペルリ(ペリーのこと)が来航し日米和親条約を調印した際、神奈川奉行の高祖父もその場に立ち会ったことが自慢で、酔っていい気分になると、まるで自分が立ち会ったかのように詳細に話し出す癖がある。



「わざわざそんな事なさるかしら?あの方」ロサクワ・ズシーカは持っていたクラースネ・シャーコチカが入った籠を椅子に置き自分も隣の椅子に座った。

「棋士江川さんって、ああ見えてお茶目なところがあるんですよ。この前だって・・・」と言いかけて窓の外に目をやった。
 

「あっ棋士江川さんだ。なんだやっぱり !! ねっロサクワさん 私の言ったとおりでしょ?まったくぅ棋士江川さんたら」そう言って会場外のドアのほうに向かって走って行った。

窓の外では、片手をあげて挨拶する男が立っていた。

ロサクワ・ズシーカも足早に廊下に出た。

ガチャリとドアの開ける音がして冷たい風と共に男が入って来た。


「いや すみません。遅くなっちゃって」
「ここから入っちゃっていいのかな?」

「棋士江川さん 吃驚させないで下さいよぉまったく」と言って、いきなり棋士江川の肩をドンと叩いた。

「あっごめんなさい驚きました?地下から入っちゃいけなかったかな?」棋士江川は怪力の里子に叩かれた肩をさすりながら言った。

「あっロサクワさん こんにちは お久しぶりです」里子の後ろにいるロサクワ・ズシーカに挨拶した。

「 大丈夫ですよ こちらからお入りになっても。こんにちは お久しぶり 」笑いながらロサクワ・ズシーカは言った。

里子はあれ?と言う顔で棋士江川に向かって「棋士江川さん 他の方はどうしました?それに遅くなりましたって・・・どういうことですか?」

「えっ 僕1人で今ここに着いたばかりですよ」


「またまたぁ 分かってますって 皆さん隠れているんでしょ?」と言って棋士江川の肩を怪力の里子がまた叩いた。

叩かれた棋士江川はバランスを崩し後ろに倒れそうになりながら「里子さん 顔に似ず力強いんだから 」と本当に痛そうに言った。


「本当に本当に、おひとりで今来たんですか?」

「ええ そうですよ 。」
「外から見た時 会場に皆さんいらっしゃらなかったけれど どうしました?」なにやらやたら大きいカバンと二胡を床に置いて言った。

「それが 皆さんさっきまでいらした様なんですが、今はどなたもいらっしゃらないの」ロサクワ・ズシーカは心配そうに言った。

「てっきり棋士江川さんが、私たちを驚かせようとして、皆さんと何処かに隠れたと思ったんです」

「はははっそんな事する訳がないじゃないですか?子供じゃあるまいし」

「いえいえ棋士江川さんなら そんな事思いつきそうだもの。この間だって ほらっ」と言いながら棋士江川の肩を叩こうとしたが、今度は棋士江川はスッと避けて叩かれずにすんだ。

「棋士江川さん あちらで座って話しません?」と会場を指さしてロサクワ・ズシーカが言った。

「そうですね。」

「なんか怪しいなぁ 棋士江川さん 」と言いながらジロジロと棋士江川を見ながら里子は会場に入って行った。

「1人ですってばぁ 今来たばかりですって」山手警察署長とは思えない威厳のない声で、里子の後に続いて会場に入って行った。







続く
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by komaoyo | 2015-05-03 01:22 | 読み物 | Comments(0)