クラースネ・シャーコチカの気持ち komaoyo.exblog.jp

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by niko
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皆さんは覚えておられるだろうか?

1月31日横浜山手のエリスマン邸のドアが急に開き、男が飛び出てひっくり返った女を・・・。
エリスマン邸からうめき声が聞こえ、恐る恐る中に入り、そこで大きなものにつまずきひっくり返り酷い形相をした白目をむいた男を見て気絶した女を・・・。

額を切り血が出た女を。

悪夢を見てうなされた女を。

ドアを通らずに部屋に入った男に驚いた女を。

その男を近くで見たら、白目が青みがかっていて美しい目をしていると思った女を。

その目の持ち主が、伊勢谷仁と名乗り、この世のものではない事を知った女を。

でも、この世のものでない伊勢谷仁が、目の前でスッと消えても「どこに逃げたのよーーっずるいじゃないのーーっ、説明はどうしたのよぉーーーー」と叫ぶ余裕と、この世のものじゃないんだから消えても不思議じゃないと思う心の柔軟さを持つ女を。


最後に登場したのは2015年3月10日だが、実際は2015年1月31日。 しかもその日の午前の出来事である。

3か月前の事など覚えている訳がないとお思いのお方は、お手数でも⑥ー2 エリスマン邸殺人事件簿
http://komaoyo.exblog.jp/22847232/ を読み返して頂きたい。そして「ああそんな事もあった」とフフンと鼻で笑い、これから始まるお話をお読みいただければ幸いである。





エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第9話 「 告白 」続き







伊勢谷仁 何処行ったぁ



叫んでも伊勢谷仁は戻ってこなかった。
その代わりに私の目の前にいるのは、ぎょっとした顔をしながらこちらを向いている大きな男。





こちらをじっと見ている。





私もじっと見た。





蛇とマングースの戦いのようなにらみ合いが続いた。





「マタしても アナタか」最初に口火を切ったのは、憮然とした顔の、大きな男だった。



冗談じゃない。 「マタしてもあなたか」はこちらのセリフである




「どうしてイツモ 愕かせるノダ」

はっ?愕かせているのはそちらの方だろう。



「どうして黙ってイルノダ」

変なしゃべり方 ・・・。






コホン 私は咳払いしておもむろに言った。


「申し訳ございませんが、私 この洗面所を使用させていただきたいのです。どうか廊下に出ていただけませんか?」

そして、こうも言った。

「今、伊勢谷仁さんから洗面所をお使いくださいと言われました。遠慮無くそうさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」
深々とお辞儀をしてから顔を上げた。




目の前にいる大きな男は、私の前から消えていた。






「すみません! ご案内もせずに急に消えてしまって」





大きな男の替わりに私の後ろに現れたのは、白目が青みがかっていて美しい目をした伊勢谷仁だった。





「ちょっと酷いじゃないのぉ 急に消えたりして。それに現れるのも急だし なにもかも急すぎるのよ。少しは慣れたけれど・・・」




「申し訳ありません。今日は忙しくて」



「兎に角 ここ 使わせていただきます。お話はその後にじっくりお聞きしますから」




「。。。。」





「。。。。」





「あの宜しければ、廊下に出て下さいません?」




「え?あっ 気が付きませんでした。すみません」そう言って伊勢谷仁はドアの所に行き、取っ手を回し廊下に出て行った。


違和感



どうやら私は、伊勢谷仁がスッと消えることが当たり前だと認識してしまったらしい。



当り前じゃない事が当たり前に感じる程、自然に受け入れられる伊勢谷仁の存在。



「意外と、この世のものじゃない人ともうまくやっていけるかも」などと変に納得しながら呟いた。





「この洗面所、お風呂場も一緒なのね」ぐるりとタイル張りの清潔な洗面所を見渡し、そして鏡を見た。


「うっ」
思わず絶句。




この世のものとは思えない形相の女が鏡の向こうにいて、私をじっと見ていた。


ギョ



「はっ?」



血がにじんだ包帯を巻き、殴打して赤くなった鼻、冷静になる為に何度も叩いて赤くはれた両頬、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったこの世のものとは到底思えない形相の顔を両手ではさみ叫んだ。



「嘘ぉ~」




「どうされました?大丈夫ですか?」すっと私の真横に伊勢谷仁が現れた。











続く






※ 著者近況・・・ 明日はいよいよ息子独立の日。引っ越しします。この読み物は、ダンボールに埋もれながら書きました。息子旅立ちの感慨深い思いよりも、気忙しいこの時期が早く過ぎて、落ち着いて過ごせることをただ願うばかりの母であります。


せっかく再登場したにもかかわらず、数分分しか状況は変わらず・・・しゅみませ~ん。
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by komaoyo | 2015-06-09 09:09 | 読み物 | Comments(0)
エリスマン邸殺人事件簿全12話

第9話 「 告白 」














僕が見たことは誰にも告げてはならない




例えそれが 旦那様を苦しめる事になっても







凍える寒さの中僕はついて行った・・・あの子の後を






何故 引き止めなかったのか・・・






消えてしまう事を望んだから






あの場所は僕だけのもの



いつもあの子がいた場所








暖かい大きな手で僕の頭をなでてくれた


ちくちくするお髭がいたかったけれど頬ずりしてくれた








僕の中の悪魔は僕には止められなかった








何度もあの小さい手を取って引き返そうと思ったんだ





けど・・・出来なかった










暖かい大きな手は僕のもの



僕だけのものにしたかった











あの子が消えても僕のものにはならなかったけれど・・・









あの子が消えてもあの子はあの場所から離れなかった



いや そうじゃない


旦那様が離そうとはしなかったんだ






あの時から 僕の頭をなでてくれることも、頬ずりしてくれることもなくなってしまった



僕だけのものになったはずなのに・・・








憎しみは終わらない









あの子に?いいや僕の中の悪魔に














いつまでも







永遠に











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僕のいる場所はいつもここ


暖かいあの場所じゃない




薄暗いこの場所なんだ

















































続く
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by komaoyo | 2015-06-07 09:05 | 読み物 | Comments(0)
エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの12乗





里子は「まさか」と口に手を当てたきり動かなかった。


「それにしてもロサクワさん 、まるでその時代にいたように詳細にお話しされますね。その事件を担当した刑事が話しているようだ。」棋士江川は、不思議そうに言った。


「ええ ええ 何度も聞きましたから」


「誰にお聞きになったんですか?」鋭い目をロサクワ・ズシーカに向けて棋士江川要伍が言った。


「それは・・・」少しためらい気味に言い、ため息をついた。


その時廊下の向こう、 階段辺りで大きな音がした。



固まっていた里子が反射的に廊下に走って出た。
棋士江川要伍 志穂美ロミ そしてロサクワ・ズシーカも後に続いた。




「どうしたんだ?」
「なにごとですの?」






目の前にいたのは、階段から足を踏み外してひっくり返っている山咲美結だった。



「美結さん 大丈夫ですか?」里子はそう言って、慌てて山咲美結のそばに駆け寄った。





「ひゃひゃひゃ 私 私 ・・・・どうなっちゃったんでしょう。 娘の声が・・・・・大きな切り株の方で聞こえて・・・・それでそれで わっーーーーーー」

そう早口で言いながら泣きだした。


「美結さん 大丈夫? 大丈夫?」美結を抱きかかえながら里子は何度も言った。

志穂美ロミも美結に駆け寄り、美結の手をとった。



「もしかして」そう大きな声で言い、棋士江川は階段を上って行ってしまった。



「あっ棋士江川さん どこに・・・」ロサクワ・ズシーカが呼び止めたが、棋士江川の姿はもう見えなかった。




階段の下で里子に抱きかかえられていた山咲美結は気絶していた。


「ロサクワさん 救急車を呼んで下さい」そう言って、山咲美結を抱きかかえ立ち上がった。

「美結さん美結さん」志穂美ロミは何度も声をかけた。

ロサクワ・ズシーカは、気が動転しながらも救急車を呼ぶべく携帯を取り出し、里子達と一緒に会場に戻った。





「どうなっているのかしら」介抱しながら里子は、動揺を隠せなかった。

志穂美ロミも自分と同じような体験をした山咲美結を見ながら泣きそうになっていた。







「おかしいわね。携帯が使えないわ」

「え?」






「私の携帯でかけましょうか」志穂美ロミがそう言った時、会場に戻って来た棋士江川が言った。





「ロミさん 無駄ですよ。もう携帯は使えません」


「え?」


里子もロミもズシーカも棋士江川の声のする方に振り向いた。




「今なんて言いました?」








「もう携帯は使えませんと言ったんです」


「私たちは、もうここから出る事は出来ないんです」



「エリスマン邸で1月31日に消えたのは私たちなんです」








続く
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by komaoyo | 2015-06-06 12:55 | 読み物 | Comments(0)
エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続き





その日、3番目のお嬢ちゃまは熱を出して寝ていらしたそうなの。急にお仕事の都合でイギリスに行かなければならなくなったエリスマンさんは、後ろ髪引かれる思いで、イギリスに旅立ったそう。


お嬢ちゃまが起きた時には、お父様はもういらっしゃらなくて・・・。よほどお寂しかったのね、ずっとお泣きになっていたそうよ。

その日に限って使用人達は、どういうわけか母屋にはいなかった。
母屋にいたのは、エリスマンさんの奥様と長女と長男、そして3番目の娘さんの3人だけ。
お嬢ちゃまにつきっきりで看病していらしたお母様が、お部屋を離れたのが15時ごろ。

30分後に戻られた時には、お嬢ちゃまの姿は影も形も無かったそうよ。

お家中を探しても居ない事が解かり、すぐに警察やご近所の方々、もちろん使用人たちと探しに行かれたけれど見つからなかったそうなの。


もの凄く寒い冬の日、ましてや熱を出して寝ていたお嬢ちゃまが突然居なくなった・・・。



「神隠し」という言葉をご存知?ある日突然、忽然と消えた人を神が隠したと言っていたそうなの。


「神隠しに遭う」


その当時の新聞にもこの事は、大きく取り上げられたそうよ。「神隠し」の大きな見出しでね。


捜査の結果お嬢ちゃまの手袋とオーバーコート・えりまきがお部屋からなくなっていたそうなの。警察は、使用人の中の誰かが、何かの目的のために連れ去った可能性があるとみて捜査したけれど、結局迷宮入りしてしまったそう。


お嬢ちゃまが居なくなってから、お母様は悲しみのあまり床に臥せることが多くなってしまったそうよ。

えっエリスマンさんはどうなさったかって?

この悲報をすぐには、知ることが出来なかったそうなの。海の上でしたから・・・。


でもお知りになった時、想像を絶するほどの悲しみだった事は、間違いなかったはず。



エリスマンさんは、お亡くなりになるまでお嬢ちゃまをお探しになっていたそうよ。






里子は、志穂美ロミにしがみついていた。そして左手は棋士江川要伍の右腕をぎゅっと掴んで離さなかった。


棋士江川要伍も里子にぎゅっと掴まれた右腕の痛さに気づかず、ロサクワ・ズシーカの話に聞き入っていた。



「ロサクワさん お嬢さんは本当に何処にもいなくなってしまったのですか?」志穂美ロミが聞いた。。


里子と棋士江川要伍は唾をゴクリと飲んだ。






「ええ」





「遺体が見つかった話もなく?」





「ええ」











「まさか・・・」里子は小さく言った。


「神隠し」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E9%9A%A0%E3%81%97












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by komaoyo | 2015-06-06 06:06 | 読み物 | Comments(0)
エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続き












※画像スタートしましたら画像を見ずに、そのままゆっくりスクロールして音量大き目でお読みください。













「ねぇ パピは?パピはどこにいったの?」
「お父様は、またお船で遠いところに行かれたわ」
「ねぇ パピにあいたいよぉ」








「まだお熱があるのだから、おとなしくしていなければだめよ。あらあら起きてきてはだめ」
「パピパピーえーーんえーーーん」
















「おふねにのっていっちゃったのパピ?」
「ええそうよ。あなたがよく眠っていたからそっとお出かけしたの」
「パピ パピ・・・えーーんえーーん」













「おっきいおにいちゃん、 パピのところにつれてって」
「だめだよ。きっと もうお船に乗ってしまわれたもの」
「おふねにさようならするの。おふねのところにつれてって」
「まだお熱もあるでしょ。今日はもの凄く寒いからお家にいなくてはだめだよ。・・・あっそうだ、ご本を読んであげよう」
「いやいや パピのおふねに あいにいくの」
「だめだったら いうことをきかないと ぼくが怒られちゃうよ」






「 ひとりでいくもん おっきいおにいちゃんがつれていってくれなくても いいもん ひとりでいけるもん」


















「てぶくろ おーばー あったかいえりまき・・・ おくつをはいて ひとりでいけるもん」


「ぱぴに いってらっしゃいって いうんだもん」





























「ぱぴ ぱぴはどこ?」


















「えーーんえーーーん」






















「お嬢ちゃん どうしたの?こんな所で・・・」


「一人で来たのかい?」


























「こわくないもん パピにバイバイするんだもん」













「よいしょよいしょ」




















「おふね が みえないよ」


















「さむいよ え~~ん え~~ん」





















「パピ どこ?えーーんえーーーん」



















「パピ パピ」





























「あっ」






























































































































































































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by komaoyo | 2015-06-05 00:00 | 読み物 | Comments(0)
※ このお話はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係 ありません


エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続き









私がここ横浜に初めてウクライナから来た年・・・27年前になるかしら・・・。


このエリスマン邸は元々違う場所に建てられていましたの。1990年にこの場所に移築復元されるまでは、ここにはなにもありませんでしたわ。

私が来た年にこの場所に移築されることが決まりましたの。この高台の海のよく見える場所に・・・。


エリスマン邸は皆さんもご存じのように、生糸貿易商シーベルヘグナー商会の横浜支配人フリッツエリスマンさんのお宅でした。使用人も沢山いて、エリスマン邸の横に和風の使用人用の家もあったそうよ。

元々は元町の方にお宅があったそうですが、不思議なご縁でこの場所に移築されたそう・・・。不思議なご縁で・・・。


そうそう、お話ししなければいけない事を早く言わなくてはね。

エリスマンさんには、お子様が3人いらしたそうなの。1番上が娘さん、2番目が息子さんそして3番目が娘さん。

エリスマンさんは子煩悩でとてもお子様たちを可愛がっていらしたそうなのね。忙しい仕事の合間をぬっては、大磯の海岸で海水浴をご一緒に楽しんだり、箱根の別荘では虫取りされたり、湖でボートに乗ったり。

特に一番下のお嬢ちゃんは、殊の外可愛がっていらしたみたい。お嬢ちゃまもお父様が大好きで・・・・お家にエリスマンさんがいらっしゃる時は、いつも傍らにはお嬢ちゃんがピッタリとついていたほどだったそうよ。


でも・・・・。まさかあんな事が起こるなんて、誰も想像しなかったのではないかしら。



お嬢ちゃまがあんなことになるなんて・・・・。



エリスマンさんは、よく外国へもお仕事の関係で行っていらしたそうなの。今では飛行機が当たり前ですけれど、その頃は船が当たり前。横浜の大桟橋はご存知かしら?今では立派な豪華客船が停泊していますけれど、エリスマンさんがいらした頃は、木の簡素な造りだったそうよ。それでも外国船が良く停泊していて、とても活気があった場所だったそうなの。








それはそれは寒い冬の出来事だったそうよ。








続く


















































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by komaoyo | 2015-06-04 07:35 | 読み物 | Comments(0)
エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続き







窓のほうに歩いて行って振り返り、スラスラと曾祖父から教えてもらった手毬歌を歌った棋士江川要伍。

歌い終わって宙を見ながら一言つぶやいた。


「覚えてた・・・」



「ねねね!!!凄いと思いません?ロサクワさん!里子さん!ロミさん!」3人を見てそう言い、何故か会場の奥までガッツポーズをしながら走って言った。



「おいおいおーい棋士江川しゃん 、ついにおかしくなったんじゃないでしょうね?」里子は両手の人差し指をを両耳の横でクルクル回した。


「里子さんそこまで言わなくても・・うふふふっ」ロサクワ・ズシーカは、笑いを押さえきれなくなりスワトー刺繍のハンカチを口に当てた。


ロミは理解の範疇から彼方遠くにいる棋士江川要伍の行動を、ぼんやり見ながら言った。



「怖い歌・・・」



笑わずに怖がっているロミの方をちらっと見ながら、里子は真面目な顔になり言った。

「棋士江川さん、もう一度さっきみたいにノートに書いてくれません?カエルが転がったり、お供えくれなきゃだめとか 変な歌 。ほらほらぁそんな奥でガッツポーズなんかしてないで こっち来て書いて下さいよぉ」


「はいはい書きますよ~ぉ~、それにしても我ながら凄い記憶力だぁ感心!感心!」満面の笑みを浮かべながら3人の座る席の近くに戻った。


ノートと渋くひかるパーカーのペンを再び持ち、曾祖父から聞かされていた手毬歌の続きを書きだした。






K=棋士江川要伍 S=香見宇里子


K「か え る でんぐり でん でん でん でん っと 」


S「かえるがでんぐり返るってなんなのよねぇ」


K「たった一つのお願いを 誰が 叶えてくれましょか 誰が 叶えてくれましょか」


S「誰がって 知らないわよそんなの」


K「15の 幸せ 見ぬ日には 私しゃ ど こ にも行けやせぬ」


S「15才で私しゃって あはははっ 変なのぉあははははっ」


K「里子さん、黙っていることは出来ませんか?間違わないように集中して書いているんだから」鋭い視線で里子を見た。

S「ごごごめんなさ~い。だって面白すぎるんですもの この歌。・・・・はいはい黙ってまぁ~す」


K「か え る でんぐり でんでんでんでん たった一つのお願いを 誰が叶えてくれましょか 誰が叶えてくれましょか たんとお供えくれなけりゃ 元には戻れぬ 闇 の まま」


S「要はお供え沢山くれなかったら 怖い目にあうぞって・・・これって脅迫じゃないですかぁ 酷いわぁ 闇のままって ねえねえロサクワさん酷くありません?」

ロサクワ・ズシーカは、里子をいさめるようにまあまあというしぐさをした。



K「続けますよ。」渋くひかるパーカーのペンを、1回まわしてまた書き始めた。


K「かえるでんぐり でんでんでんでん たった一つのお願いを もしも 叶えぬお人には 何をお返しいたしましょう 何をお返しいた し ま しょうっと」



S「結局 カエルがでんぐり返って、お願いを聞いてくれって言って、 しかもお供えを一杯くれ なかったら闇のままで戻れないぞって 酷い一方的な話だわ 横暴の極みね」ぷりぷりして窓の方を見ながら言った。


K「そうですね。横暴と言えば横暴ですよね」渋くひかるパーカーのペンを、もう一度回して棋士江川が言った。





「叶えなかったら 戻れない 闇のまま・・・」志穂美ロミがぽつりと言った。


そして


「私私・・もしかしたら・・・ここに戻って来たんじゃなくて・・・まだ戻ってきてないんじゃないでしょうか・・・」

消え入りそうな声で言った。


「えっ ロミさん 今なんておっしゃいましたの?」ロサクワ・ズシーカが聞いた。




「私・・・まだ戻っていない気がするんです」




「何言い出すんです急に」棋士江川要伍は、今度は渋くひかるパーカーのペンを落としそうになりながら言った。

「そうよそうよ 何言っちゃってるのロミさん。私たちのところに、ほらこうして戻ってきているじゃない」そう言って里子は、席から立ち上がり志穂美ロミの肩を叩いた。


「お化けでも幽霊でもなく、ほらほら触れるし・・・嫌だなぁロミさん 変な歌聞いたから変な事考えちゃったのね」志穂美ロミの頭をなでながら、岸江川要伍のほうを睨んでこう言った。


「棋士江川さんが変な歌うから、ロミさんがこんな事言いだしたじゃない。もう 」


「いやいやいや 参ったなぁ」そう言って棋士江川要伍は、手毬歌を書いたノートを隠すようにやたら大きい鞄の外ポケットに押し込んだ。



ロサクワ・ズシーカは、志穂美ロミの手をしっかり掴んで言った。

「少し前に怖い思いをされたんですものね、ロミさん・・・しかたないわ。でも大丈夫私たちがついているんですもの。でも、どうしてまだ戻っていないと思ってしまわれたの?」

「棋士江川さんの歌われた手毬歌を聞いて思ったんです。」

「ほら棋士江川さん 変な手毬歌を聞いて思ったんだって」里子は棋士江川をまた睨んだ。

「里子さん ロミさんは変なとは言っていませんよ、変なとは」しっけいなとでも言いたそうな顔で棋士江川要伍が里子を見た。


「変な歌じゃないですか。変じゃなかったらおかしい歌だわ かえるでんぐりでんでんでんでんなんて 叶えなかったら闇のままって 変なのぉっ 」

「何かヒントになればと思って歌っただけなのになぁ 」棋士江川要伍は、なんだか解せない表情で渋くひかるパーカーのペンを左胸ポケットに仕舞った。



「皆さん、唐突なんですけれども、私先ほど里子さんにお話しようと思ったことがあるの。ロミさん ごめんなさいね。怖がらせるつもりはないのだけれど、お話させてちょうだい」


真剣な顔で離すロサクワ・ズシーカを見て、志穂美ロミはうなずいた。


「ロサクワさん お話って・・・あっ棋士江川さんが来る前に言っていた、このエリスマン邸に纏わるお話のことですか? そういえば ロサクワさん、 始まってしまったかもとかおっしゃってましたよね」

「里子さん そうなの 私も棋士江川さんと同じく、急に昔聞いたことを思い出してしまったの 先ほど ・・・・でもかえって混乱させてしまうかしら」

ためらうロサクワ・ズシーカに里子は


「うーんなんだか怖いんですけれど・・・聞きます 聞きますよ ロサクワさん」と言ってロサクワ・ズシーカの椅子に、また自分の椅子をぴつたりくっつけた。







※次のお話はこの回の後に書きこみます。明日の朝にはアップ予定です。
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by komaoyo | 2015-06-01 23:54 | 読み物 | Comments(0)