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エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第9話 「 告白 」続きの続きの続きのとまれかうまれ沢山の続きの続き






何が起こるらむ

益々深みにはまっている気がす

「ただ 二胡を弾きに来しのみなれど」


もう一度言はむ


「ただ二胡を弾きに来しのみなれど」



我はこの言葉を呪文のごとく唱えながら逃げき。

階段を何段も駆け降るる、されど何段も降りていへど一向に最下段にならず。


夕凪は夢中に逃げたりしかば、とばかり気が付かざりき。

されどはたと気がつきき。(おどろくが遅すぐる・・・)


「さればこの建物何階建てなの・・・。地下1階 地上2階なりしには?少なくとも10階以上は降りたり」

おかしき絶対おかし。


夕凪はこうじて1歩も動けなくなりき。そして、階段の踊り場にうずくまりき。


「助けて助けて 助けてよ 伊勢谷仁 」


もはや声も出でず、心の中にののしりき














※この場合の「ののしりき」とは・・・叫んだ の意味












続く
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by komaoyo | 2015-08-23 20:08 | 読み物 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話


第9話 「 告白 」続きの続きの続きのとにかく沢山の続きの続き






「戸志川さん、戸志川さんが何でここに…何でここに写っているんですか?」夕凪は、写真を見ながら叫んだ。そして、ソファーに座っている戸志川の方を見ながら


「琉津田さんも戸志川さんも、悪い冗談はやめて下さいよ。この写真、加工しているのでしょ?どうしてかは分からないけれど・・・アハハハッ何?何ですか?お二人で私を驚かして、え?え?一体どういうつもりなんですか?」夕凪はそう言いながら、頭を抱えている戸志川の近くに行き


「黙っていないで戸志川さん、何とか言ってくださいよ」と言い、その後も早口で

「わかったわかった。仮想大会か何かの時の写真でしょ。あっそうだハロウィンか・・・そうだそうだ!なーんだもう吃驚するじゃないですか?もしかしたら今までの一連の吃驚仰天の数々は、仕込み?あっでも私が怪我をしたことは・・・・、想定外のこと?・・・・いやいや、もう本当に何が何だか分からないけれど、兎に角、ねえねえ戸志川さん教えて下さいよ、本当のこと」そう言って夕凪は、戸志川の肩を揺らした。

すると戸志川は顔を上げ、夕凪にこう言った。



「すみません。夕凪さんを驚かせてしまったようですね」


「・・・」



夕凪は、顔を上げた戸志川を見て別人のような違和感を直感的に感じた。



戸志川は、次に琉津田さほりの方を見てこう言った。




「お久しぶりです」



「戸志川さん・・・ちょっとちょっと何言ってるんですか?お久しぶりって・・・さっきから琉津田さんに会ってるじゃないですか・・・。やめて下さいよ、おかしな事言うの・・・」夕凪はそう言って、ごくりと唾を飲んだ。




「お久しぶりです。良かったぁ戻ってらして」琉津田さほりは、思わず戸志川のところに駆け寄った。



戸志川は立ち上がり、琉津田さほりの手をとり、心から懐かしいという風にして握手をした。










「え?え・え・えーー何これぇー益々分からないーーーっ。お二人何やってるんですか?」そう言いながら夕凪は、何故かドアの方に後退して行った。


「お帰りなさいと言うのか・・・この場合やっとやっと会えたと言うべきか・・・」琉津田さほりは戸志川の目をじっと見て言った。



「戻る事が出来て私も嬉しいです」戸志川は握手した手を離すことなく、より強く琉津田さほりの手を握った。



戸志川と琉津田さほりは、長年会っていなかった同級生にでも会ったみたいに、再会の喜びを分かち合っていた。



「変ですよ。変ですよお二人。」そう言って夕凪は左手を後ろに回し、いつでもこの場所から逃げ出せるようにドアノブに手を掛けた。


「夕凪さん、驚くのも無理はありません。でも大丈夫 私も戻ってこれたのだから、夕凪さんも戻れます」戸志川は笑顔で夕凪の方に近づいてきた。




「ひえーーーっ来ないでーっ」



夕凪はドアノブを捻り、廊下に転がるように出て一目散に駆け出した。



「ゾンビが来るぅぅぅうううううう」





と、訳のわからない言葉を残して。




部屋の中に残された戸志川有起哉と琉津田さほりは、顔を見合わせこう言った。




「私たちがゾンビ?」



そして、困ったような顔になりこう言った。




「あーあっ」









続く
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by komaoyo | 2015-08-22 07:33 | 読み物 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話


第9話 「 告白 」続きの続きの続きのとにかく沢山の続きの続き




「ご存じって・・・何を言っているんですか琉津田さん」戸志川は強い口調で言った。

「私も琉津田さんが、何を言いたいのかわからないのですけれど」夕凪も、目をパチクリさせながら言った。



「本当に?本当に私が何を言いたいか、わからないのですか?」琉津田さほりは、2人に問いかけた。


「ええ」
「ええ」

戸志川も夕凪も、本当にわからないと言うように声をそろえて答えた。


「ではどうして、エリスマン邸で演奏会をしようと思われたのですか?しかも1月31日に。確か戸志川さんが、今回ここをお決めになったのですよね。」


「それは、たまたま以前ここで演奏する機会があって、その時良い場所だと思ったからです。それに1月31日の今日にしたのは、これも、たまたま抽選でこの日が当たったからです。それだけのことなのに・・・。どうしてその事が、写真やハンカチにまつわる話を知っていることになるんですか?琉津田さん、何だかおかしいですよ。はっきり教えてください」戸志川は、少し不快感を持ちながら言った。


「琉津田さん、 私たちに今起きている事と何か関係あることなんでしょ?ハンカチ・写真そして1月31日・・・」夕凪は写真に触れながらそう言った。


「私たちが何を知っているのだ」そう言って戸志川は、頭を押さえながらソファーに戻った。



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ソファーに腰かけて頭を抱えている戸志川の方をチラッと見て、夕凪はこう言った。

「琉津田さん 何かご存じなのですよね。早く教えてください。戸志川さん頭抱えちゃいましたよ」



「まだ お二人とも戻ってらっしゃらないのかしら?」琉津田さほりは、おかしな事を呟いた。

「戻るって誰がですか?何処からですか?」夕凪は聞いた。


「この写真をもう一度よく見てください。この中に見覚えのある人が私の他にもいるはずです」琉津田さほりは、益々おかしな事を言いだした。



そう言われて夕奈は、半信半疑で写真を見て「わっ」と言う驚きの声を出し、両手で口を押さえた。









そこにはもう一人、よく見知った人間が写っていたのだ。















「戸志川さん ・・・ なんで 戸志川さんが」


写真には、コック帽を被った戸志川が笑みを浮かべて写っていた。








続く
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by komaoyo | 2015-08-21 23:39 | 二胡 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第9話 「 告白 」続きの続きの続きのとにかく沢山の続きの続き












「夕凪さん戸志川さん、これお分かりになりますか?」そう言って1枚のハンカチを差し出した。

「それって、今涙を拭いていたハンカチですよね」戸志川が言った。


「ええ そうです。このハンカチ、母から譲り受けたものなんです」そう言って琉津田さほりは、汕頭(スワトウ)刺繍が施してある白いハンカチを大切そうに両手で包んだ。



戸志川も夕奈も、どうしてハンカチの話を始めたのか、皆目わからないという顔で、琉津田さほりの手元を見た。


「急にハンカチの話をして、可笑しいと思われたでしょう?夕奈さんのお話を聞いたばかりで、なんの繫がりもないハンカチの話を、唐突だと思われるのも無理ありません。今からお話しすること、お二人にはきっと分って頂けると思ったのでお話しする事に致しました」そう言って立ち上がり、マントルピースのある方に歩いて行った。


「この写真を見てください」そう言って、いきなりマントルピースの左側に掛けてある黒い額縁を指さし「この写真と同じものが家にあるんです」と、またまた唐突に言った。


「えっ?」
「えっ?」

戸志川と夕奈は顔を見合わせた。


銀色の額に入って飾られていたのは、洋館の前で撮られた集合写真だった。
大きく引き伸ばして飾られている。


そこには着物を着ている人や背広を着ている人、中にはコック帽を被った人も写っていた。前列真ん中には、髭を蓄えた大きな男が満面の笑みで写っている。よく見ると他の人々も皆笑顔だ。大概集合写真と言うと、皆緊張した面持ちで写っているものなのに。誰もがカメラに向かって幸せそうな顔をしている。


「集合写真ですね」戸志川が見た儘を言った。


「あれっこの写真、エリスマン邸みたい。鎧戸の感じや手すりが、ちょっと違うみたいだけれど・・・。とすると、この真ん中で笑っている髭の男の人がエリスマンさんかしら?確かスイス人でしたよね」夕凪もすかさず言った。


いつの間に写真の前に戸志川も夕凪も集まっていた。



「ええ、この方がエリスマンさん、そしてこの方が奥様・・・周りにいるのは」と、琉津田さほりが言いかけた途端、「おや?・・・・」と言って、戸志川はじっと写真を見たまま固まってしまった。





「戸志川さん ?どうしたんですか?おやっと言いかけた途端黙ってしまって」戸志川の肩をたたきながら夕凪が言った。



「うん・・・。 ここ 、ここにいる女の人を見て!」
夕凪は戸志川の指さす方を見た。


そこには、髪を高く結い上げた洋装の琉津田さほりが写っていた。



「あっ るるっ琉津田さん・・どうして どうしてここに写っているんですか?」


吃驚しながら琉津田さほりの方を見た。



「ですから、家にも同じ写真があると言いましたでしょ」そう言って、両手で持った汕頭(スワトウ)刺繍のハンカチを見つめた。


「一体どういうことです?琉津田さん」


「それは・・・。それは、この汕頭(スワトウ)のハンカチと関係があるんです。そして・・・その事は戸志川さんも夕凪さんもご存じのはず・・・。」琉津田さほりは、2人をはっきり見ながら言った。



「ご存じ?」
「ご存じ?」



戸志川と夕凪は、同時に大きな声で言い顔を見合わせた。






続く
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by komaoyo | 2015-08-16 20:58 | 読み物 | Comments(0)

エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第9話 「 告白 」続きの続きの続きのとにかく沢山の続き





夕凪は、エリスマン邸に来て遭遇した全ての出来事を二人に話した。

勿論、伊勢谷仁の事も。


身を乗り出して聞いていた戸志川有起哉は、「ふむっ」と口を真一文字に結んで、膝の前に組んでいた両手を頭の上で組み直しソファーに背をつけた。

琉津田さほりは、唇を噛んでじっと床を見ていた。


夕凪は一気に喋ったため喉がカラカラになり、ソファーテーブルに置いてあるガラスピッチャーから、勢いよく水をタンブラーに注ぎごくごくと飲み干し、「信じられませんよねこんな話。でも本当の本当に起こった事なんです」と言いながら、また並々と水を注ぎごくごくと飲んだ。



その様子を見ていた琉津田さほりは、目を丸くして驚いた。


「夕凪さん 大丈夫ですか、そんなに一気に飲んでしまって」戸志川有起哉は心配そうに言った。


「大丈夫です。<ゲップ>あははっ失礼しました。 なんだか一気に喋ってしまったから、喉が乾いちゃって乾いちゃって」タンブラーをテーブルに置きながら口を拭った。



「あの」琉津田さほりは、ソファーの椅子から立ち上がり、なにか決心したような眼差しで夕凪と戸志川の方に向いて言った。


「あの お二人は信じないかもしれませんが・・・」


2人の前で意外な事を話し始めた。






続く




※ 相変わらずの「そこで終わるか」シリーズ。 今回こそ早めの連投致します。
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by komaoyo | 2015-08-15 21:09 | 読み物 | Comments(0)