第4章 喧騒の中の孤独 つづき

小さい時、「1円を笑うものは1円に泣く」と教えられた。「1円足りなければ電車にだって乗れないのよ」とも教えられた。

今は初乗り130円さえ前払いすれば、次の改札までは乗って行ける。

乗って行ったまでは良かったが・・・10円足りないために改札を出られない私って・・・。あ~情けない。

駅員さんに「誰かに借りられませんか?」と問われ、「知り合いもいませんし・・・これから逢う方は初対面なのでお借りすることはちょっと・・・。」と、しどろもどろで答えた。

借りられるわけ無いじゃん、おじさん

「帰りはどうするんですか?」

「イッ・・・」私は思いもよらない質問に腰が抜けそうになった。

10円足りないことばかり考えていて、その先のことをまったく考えていなかったからだ。おバカな私。

駅員さんとのやり取りの間にも、私はかばんの中をごそごそと右手であさっていた。えっ何故かって?だって10円くらいかばんの底に転がっているかもしれないから。

でも、残念ながらいくら漁っても1円も出てこなかった。整理整頓好きの自分を、この時は心の底から呪った。こんな時夫だったら、ポケットに入れたままジャラジャラいわせている小銭を、ポンッと出して、颯爽と改札を抜けることだろう。

ポケットに小銭をじゃらじゃら入れている夫をいつも非難していた私。この時ほど、夫のポケットの小銭を切望した時は無かった。あのお金があったら。「もう夫を非難することはやめよう!」心に強く誓ったのであった。

次の一手を打てないままに、しどろもどろを繰り返していたら、駅員さんが奥からなにやら借用証書みたいな用紙を持ってきて、「これに住所・氏名・電話番号を記入してください。」とおっしゃった。

「それから、なにか身分を証明するものは?」とじっと私の目の奥を覗き込むように言ったのだった。

なんだか無銭飲食をしてつかまった犯人みたい。

私、10円を踏み倒したりいたしませんよ~だ。

とりあえず携帯電話の中のプロフィールを見せて身分証明の替わりにしてもらった。

「では明日にでも返しに来て下さい。」駅員さんのこの言葉を聞いて
「はいっ分かりました。必ず返しに来ますので」私は、そそくさと脱兎の如く改札を抜けたのだった。

改札を出て思った。「そうだコンビニに行こう。そこでお金を下ろせばいいんだわ。」

カードはモチノロン・・いつものお財布の中。そしてそのお財布は、いつものかばんの中にあってここにない。素敵な思いつきもガラガラと音を立てて崩れ去った。

私、1円も持たずにこの大都会の中、いったいどうやって帰ることにすればいいのよっ~。

韓流好きのおばちゃん達やK-POP好きのGirlsに大きな声で「お金貸してくださいーい」と叫ぶ勇気もなく、とぼとぼと語学スクールの道のりを歩いて行った。・・・無一文のまま。


一難去って又一難、悪夢の連鎖はまだまだつづく
[PR]
by komaoyo | 2011-03-07 21:20 | Comments(0)

♪当ブログ内の写真、テキスト等の無断借用、転載などは固くお断りいたします。Красная Шапочка


by クラースネ・シャーコチカ
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る