⑧ー6 エリスマン邸殺人事件簿 全12話

エリスマン邸殺人事件簿 全12話

第8話「1月31日から消える人 」続きの続きの続きの続きの続き







何かにドンと押され切り株の穴に吸い込まれてしまった、志穂美ロミ。



気が付いた時はここにいた。







エリスマン邸の前。
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二胡を背負って、片手に重いバック、片手にイギリスパン2斤とシナモンレーズンパンと他のパンも沢山入ったウチキパンの袋を持って。







「案外早く着いた・・・」





「いやいやそうじゃなくて」




「私、今とんでもない事に遭遇した・・のだろうか?」
足がすくんだままエリスマン邸の前で立ち尽くした。





周りを見回した。気のせいか、景色が止まっているように感じた。先ほどまで吹いていた風がどうやら止んだようだ。








「会場に行かなくちゃ」自分に言い聞かせるように一言つぶやいて、エリスマン邸に入って行った。






会場に続く階段を下り切った時、携帯電話がブルルルゥブルルルゥと振動した。


「誰かしら?」志穂美ロミはポケットから携帯を取り出し耳に当てた。





「はい」少しぼーとしながら携帯に出た。




「ロミさ~ん ♪ 里子です。今どちらにいます?」



「ここです」

会場の入口ドアの前で志穂美ロミは答えた。



「えっ?どこです?ここって?」里子は首を傾げ、ロサクワ・ズシーカと棋士江川 要伍の方を見た。


ロサクワ・ズシーカと棋士江川 要伍は、里子の後ろを同時に指さした。


「えっ」里子は携帯を耳に当てたまま振り返った。




「あっ なんだ ロミさん いたんですね。良かった!!」里子はすくっと立ち上がってロミに駆け寄った。

「良かったわぁ」
「いたんだ。良かった良かった」

そう言ってロサクワ・ズシーカと棋士江川 要伍も立ち上がり志穂美ロミの方に行った。


「え?ええ こんにちは」力のない声で志穂美ロミは答えた。



「こんにちは ロミさん お一人ですか?」
「他の方にまだお会いになっていません?」
「皆さんと何処かに隠れていたってことないですよね」矢継ぎ早に里子は聞いた。


「はい?」里子をぼんやり見ながら志穂美ロミは答えた。


「とりあえず ロミさん こちらにお座りになってお話はそれから。ねっ里子さん 」ロサクワ・ズシーカは、いつもの志穂美ロミと違う事を察して、重たそうな荷物と持ち手がねじれて手に食い込んでいるウチキパンの袋を持ってあげながら里子に目くばせした。


「ロミさん こちらに来る時ウチキパンに寄ってらしたのね」ロサクワ・ズシーカは沢山のパンが入ったウチキパンの袋と重たいバックを空いてる席に置きながら言った。


「え?え ええ・・」うつむきながら志穂美ロミは答えた。


棋士江川要伍も何かいつもの様子と違う志穂美ロミを見て、 おかしいと気付いた様だ。

「ロミさん ロミさん 大丈夫ですか?」



顔を上げた途端 椅子に崩れるようにへなへなと座った。



「私 私 変なんです。」


「おばあちゃんの声がして ・・・最初空耳だと思ったけれど・・・また おばあちゃんの声がして ・・・それで 声がしたほうに行って・・・でも 聞き間違えだと思って引き返そうとしたら ロミってはっきり私を呼ぶ声が聞こえて・・・・振り向いたら そこに」と一気に言った途端、顔を両手で押さえて泣き出した。



「ロミさん」

「ロミさん大丈夫?」

「何を言っているの?ロミさん?」


泣き出した志穂美ロミに3人は酷く戸惑った。




「そしてそして 何かが私を ・・・ 私を押して 私、切り株の穴に吸い込まれて・・・ それでそれで・・・」







訳の分からないことを言い出した志穂美ロミに戸惑いながらも、棋士江川要伍は冷静にこう聞いた。



「ロミさん おばあさんの声を聞いたのは何処でしたか?」

「もしかして 外人墓地の坂を登っている時ではないですか?」



「は はい 外人墓地の坂です」涙をぬぐいながら答えた。


「切り株は、外人墓地の・・・・反対側。そこから声がしたんでしょう」


「ええええそうです」棋士江川を見上げながら 、志穂美ロミはどうしてわかったのかと言う目をして答えた。



「やはりそうか」


「何か知っているんですか? 棋士江川さん」里子は棋士江川の方をググッと見た。



里子の目力に戸惑いながら「 知っているというのか・・・、はっきりした事ではないのですが」と前置きしながら話し始めた。









続く
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by komaoyo | 2015-05-14 18:37 | 読み物 | Comments(0)

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