香港旅⑫ 心弦<香港国際音楽節2016> じぇいそんレポート

3日目 丑の刻




これから起こるお話を僕は知らない。何故なら641号室でぐっすり眠っていたから。




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1時過ぎに眠ったのに・・・。
(゚_゚)パチッ  起きてしまった。


携帯を見たらまさかの3時半。
カーテンの隙間から青白い夜がこっちを見ている。


起きたらいけない、なんとしても眠らねば。 一生懸命頑張って目を閉じる。  

眠れない度マックス!!



もう出てるかな?コンクールの結果。  
もうホワイトボードに書いてあるかな?


気になる気になる気になる!

気になっても寝なきゃ
なんとしても寝ないと。

モーニングコールがある5時半までの2時間余り、ベットにしがみついていなければ・・・。


睡眠薬代わりに歌を聴く。















素敵な声・・・。







うーむ 余計眠れなくなった。



今起きれば、お隣に寝ている元ベテランCAのお姉さまを起こしてしまうやもしれない。

2日目・・・5時に足が攣って大声を上げ起こしてしまった。
3日目・・・3時半に起きてしまう。眠れずむくっと起きてしまい、同時に起こしてしまう・・・わけにはいかない。







じーとしている。







携帯で時刻を見ても5分と進んでいない。




目をつむる。




チャンミンの甘い歌声を又聴く。




(゚_゚)パチッ




結果が気になって眠れない。


こうなったらゆっくりそーと起きて、バスルームで着替えて見に行っちゃおう。イヤホンを耳から外し起き上がり、出来るだけso-to足を床につけた。

so-to so-to so-to ・・・・まずはクロゼットから洋服を取って so-to so-to  ギーっ クロゼットは扉を開けると明かりがつく。部屋に明かりが漏れないように扉を最小限に開け、そこから洋服を取り出す。 so-to so-to  無事 洋服取り出し完了 ギーッ 慎重に扉を閉める so-to so-to 次はバスルーム。

自分のベットの位置が、クロゼットとバスルームの近くで良かったぁーという喜びを噛みしめ、バスルームのドアをso-to開ける。

カ・・チャ 

僅かな隙間から滑り込み又so-toドアを閉める カ・・チャ


「ふふぁぁー」心臓に悪いわぁ


真夜中に、いくら結果が気になるからって、同室の人を起こしてしまう危険を冒してまで見に行くの?いいやいいや、気になる結果を思いながら、まんじりともしない夜を過ごすことなんて私には出来ない。

細心の注意を払って行動すれば絶対大丈夫。妙な自信がどこからか出てきて、私はすばやく身支度を整えバスルームのノブを握ってドアを開けようとふっと下を見た。

白いスリっパが見えた。

いや~んっ スリッパじゃん私
無意識に履いていたスリッパ。



靴を取り出す為にまた、クロゼットを開けなければいけない。クロゼットの中の明かりがなるべく漏れないように又慎重に開けなければならない。  開けなくちゃ靴を取り出せないもの。

バスルームのドアをso-to開けso-to閉め、抜き足差し足でクロゼットの前に行った。


息を殺してクロゼットの扉に手を掛けた時



「もう時間ですか?」と奥のベットから少しかすれた声が聞こえた。




w(*゚o゚*)w


 あー起こしちゃった・・・。


又起こしてしまった申し訳なさで一杯になった私は、クロゼットをばッと勢いよく開けて急いで靴を取り、その靴のかかとを思い切り踏みながら履き、ドア横に差し込んでおいたカードキーを手にすると

「ごめんなさい まだ寝ていてくださいね。 ちょっと行って来ます」小さい声でそう言い、慌てて前のめりに部屋を出た。




バタン

部屋のドアを閉める音がやけに大きく聞こえた。




ああ 昨日は5時。今日は3時台に起こしてしまった。本当にごめんなさい。心の底からドアに向かって誤った。

そして私は、ロビー目指して夜中にかかとを踏んだままのスリッパ状態の靴をはいて駆け出した。



6階のエレベーターの前。エレベーターは中々来ない。

やっと来たのは一番端のエレベーター。急いで乗り込む。


早く結果を知りたい。コンクール本番直前の演奏内容の変更。20thを演奏した時の幸福感。審査委員の反応。

昨日あったことがグルグル頭の中を駆け巡る。


香港のエレベータ速度は日本より早い気がする、なのにこの時のエレベーターは恐ろしく遅く感じられた。

 
Chi-n

エレベータのドアが開いたとたん飛び出した私。

「?」

目の前に広がる景色が違う。左手にはピアノ・・・。

ピアノなんてエレベーターの前に無かった。

「えーえーっどこに来ちゃったの?私」

慌てているから状況が余計飲み込めない。間違った階で降りちゃった?
後ろを振り向いたら、降りたエレベーターはもう閉まっていた。

狭い踊り場のような場所。そろそろとピアノの先に行ってみる。

左側に小さな階段があって、見慣れたロビーが下に見えた。

「なぁーんだ、ロビーに出られるのね」


ほっとして小さな階段を下りてロビーに行った。

丑の刻、ロビーには人っ子一人いない。

柱だけがニョキニョキと生えていた。


e0197817_227253.jpg


不思議な空間。


フロントにはホテルマンが一人。


こんな時間にロビーを通り過ぎようとする人間に、ぎょっとしたかどうかは分からないが、コンクール結果を早く知りたい、せっかちな客としての認識はしたかもしれない。(実際そうだから(・・;))

小走りにロビーを走り抜け、先程とは別の小さい階段をトントントンと上がる。







薄暗い場所にぼんやりと白いホワイトボードが浮かんでいた。




そこには


 

結果が




出ていた。


e0197817_2024843.jpg


きらきら光る  Congratulationの文字



わっわっわっ優勝だ!!




誰もいないロビーに向かってガッツポーズを取る。


素早く口を抑える。「ヤッタァー」と叫びそうになったからだ。


涙がじわっと出てくる。

何度もCongratulationと書かれたホワイトボードを見る。






よく見ると「20th」での優勝ではなく、ジブリチームの優勝と書いてある。

e0197817_20331569.jpg


えっ?てっきり20thの優勝だと思ったので少し拍子抜けしてしまった。まだ20thの審査結果は出ていなかった。


結果なんて気にならないと思っていたのに、今はしっかり結果が気になる。
出来れば70名全員で演奏した20thでも優勝したい。



誰よりも早く結果を知っちゃったのに、喜びを共有出来ないもどかしさ・・・。いつまでホワイトボードの前にいたって誰も来ないだろう。多分皆ぐっすり寝ている。




誰も来ないよなぁ



淋しい気持ちを引きずり、ホワイトボードから離れようとした時、奇跡は起こった。












何処からともなく、ジブリの音楽が流れだしたのだ。




何?何?どうして?えーーーー?




ジブリチーム優勝と書いてあるホワイトボードの前で私は号泣してしまった。




ロビー一杯に流れるジブリの曲。



※この時「コクリコ坂から」が聞こえたと思ったけれど、後で魔女の宅急便だとわかった。




コンクールの結果を早く知りたいと、真夜中にホワイトボードを見に来たせっかちな客の為に、ホテルの方が流してくれた??わけないか・・・。だとすれば偶然???



こんな偶然が起こるなんて。



何の信仰心も持たない私でも、神さまの存在を感じずにはいられなかった。
神さまからのプレゼントをもらった気分だった。



そうだ神様からのサプライズなんだ!!



ひとしきり感激の涙を流し、涙をぬぐいながら誰もいないロビーを横切り、エレベーター近くまで歩いて行った。



私は後ろを振り向き、もう一度ロビーを見渡した。



相変わらず、にょきにょきと生えている大きな柱が見えた。











to be continued















天使と悪魔はいつも一緒にいる。天使の後ろで悪魔が微笑む時・・・・それはもうすぐ。




































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by komaoyo | 2016-10-04 23:19 | 二胡 | Comments(0)

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